料理の「当たり前」がわからない人のための基本ガイド
「レシピ見ても分からない用語だらけ...」「みじん切りって結局どうやるの?」「適量って何グラム?」そんな疑問を持ったことはありませんか?このガイドでは、料理の基本を初心者目線で丁寧に解説します。
料理が面倒に感じる理由の一つが、「当たり前」とされている基本が実はよく分からないことです。一人暮らしや二人暮らしで「とりあえず食べられるものを作りたい」という方に向けて、本当に役立つ基本知識をまとめました。
目次
基本的な調理技術
切り方の名前って何?みんな知ってるようで知らない包丁の基本
レシピを見ると必ず出てくる「○○切り」という言葉。実はこれらには明確な違いがあり、料理の仕上がりを大きく左右します。「なんとなく小さく切る」から「目的を持って切る」に変わると、料理の完成度が格段に上がります。
みじん切り:「できるだけ細かく刻む」
にんにく、生姜、玉ねぎ(ハンバーグ用)、パセリなどに使います。大きさの目安は1-3mm角の粒状。香りや旨味を強く出したい時、食感を消したい時に使う切り方です。
失敗しないコツ:
- 1. まず薄切りにする
- 2. それを細く切る(せん切り)
- 3. 最後に横から細かく刻む
一気に細かくしようとすると潰れてしまいます。段階を踏むのがポイントです。
薄切り:「薄いスライス状に切る」
玉ねぎ炒め、生姜焼きの玉ねぎ、サラダの野菜などに使います。厚さの目安は2-3mm(1円玉程度)です。
玉ねぎの薄切りのコツ: 繊維に沿って切ると辛味が少なくなり、繊維を断って切ると甘味が出やすくなります。料理によって使い分けましょう。
せん切り(細切り): マッチ棒のように細く切る方法。キャベツサラダ、野菜炒めの人参、きんぴらごぼうなどに使います。シャキシャキした食感を活かしたい時に効果的です。
乱切り: 不規則に大きく切る方法。煮物の大根や人参、筑前煮などに使います。表面積が大きくなって味が染みやすく、煮崩れしにくいのが特徴です。
火加減の見極め方:「強火・中火・弱火」の本当の意味
「中火で10分」と書かれていても、実際にどの程度の火力かわからない...そんな経験ありませんか?実は火加減は、コンロのつまみの位置ではなく、炎と鍋底の関係で決まります。
強火: 炎が鍋底全体に広がって当たっている状態。野菜炒めやお湯を早く沸かす時などに使います。IHの場合は1400-2000W、温度200-230℃程度です。
中火: 炎の先端がちょうど鍋底に届く程度。ハンバーグや一般的な煮物など、最も使用頻度の高い火加減です。IHの場合は500-1000W、温度160-180℃程度。迷った時はとりあえず中火にしておけば大丈夫です。
弱火: 炎が小さく、鍋底から少し離れている状態。カレーなど長時間煮込む料理に使います。IHの場合は200-400W、温度150℃程度です。
下ごしらえって何するの?面倒だけど本当に必要?
下ごしらえは「料理をする前の準備」のこと。面倒に感じるかもしれませんが、実は最終的に時短になったり、格段に美味しくなったりする重要な工程です。
アク抜きは、こんにゃく、たけのこ、ごぼう、れんこんなどのえぐみや臭みを取る作業です。一番よく使うこんにゃくの場合は、①適当な大きさに切って、②塩をまぶして軽くもみ、③沸騰したお湯で2-3分茹でて、④ざるに上げて水を切ります。これで臭みが取れて料理が美味しくなり、味も染みやすくなります。
塩もみは野菜の水分を抜く作業で、①野菜に塩をまぶして、②軽くもんで10分程度置き、③出てきた水分をしっかり絞ります。これにより水っぽくならず、味が染みやすくなり、シャキッとした食感になります。
「適量」「少々」って何グラム?曖昧な分量の正体
レシピでよく見る曖昧な分量表現。実は、これらにもちゃんとした目安があります。
少々は親指と人差し指の2本でつまんだ量で、約0.5g(小さじ1/8程度)です。「なくても大丈夫だけど、入れるとちょっと美味しくなる程度」の量と考えましょう。
ひとつまみは親指、人差し指、中指の3本でつまんだ量で、約1g(小さじ1/5程度)です。「これくらいは入れないと味が変わらない最低限の量」という意味です。
適量は「自分の好みに合わせて調整してください」という意味。食材の大きさにバラつきがあったり、家庭の好みが違ったり、調理器具や火力が違うから適量と書かれています。対処法は少なめから始めて、味見しながら調整することです。
覚えておきたい計量の基本:
大さじ1 = 15ml、小さじ1 = 5ml(大さじの1/3)、1カップ = 200ml
覚え方:ペットボトルのキャップ = 大さじ1(約15ml)
「やっちゃった」を救済する裏技
塩辛すぎる・しょっぱい時は、絶対に水で薄めてはいけません。薄まらないのに水っぽくなって余計にまずくなります。効果的な対処法は、卵を追加する(プロ推奨)、酸味を足す(酢、レモン汁)、でんぷん質を追加する(じゃがいも、ご飯)、乳製品を追加する(牛乳、チーズ)ことです。
味が薄い・物足りない時は、旨味を足す(だしの素、昆布茶、チーズ、バター)、香りを足す(ごま油、にんにく、生姜)、酸味で引き締める(酢、レモン汁)という方法が効果的です。
プロが使う隠し味
万能隠し味ベスト5を紹介します。
1. 昆布茶: 何にでも使える最強アイテム。小さじ1/4程度で旨味が劇的にアップします。
2. バター: 風味とコクがプラスされます。仕上げに小さじ1程度。
3. オイスターソース: 中華以外にも使える万能調味料。野菜炒め、肉じゃがにも合います。
4. 酢: 料理を引き締める効果があります。小さじ1/4程度で十分です。
5. にんにくチューブ: 1cm程度で香りがガラッと変わります。洋風、中華風料理に最適です。
まとめ:「面倒」を「簡単」に変える考え方
この記事では、料理の基本的な用語や技術について詳しく解説してきました。大事なのは「完璧を目指さない」ことです。
覚えておきたいポイント:
1. 切り方には意味がある - なんとなくではなく、目的を持って切る
2. 火加減は炎と鍋の関係で決まる - つまみの位置ではない
3. 下ごしらえは最終的に時短になる - 面倒でも後が楽
4. 「適量」は「お好みで」の意味 - 少なめから始める
5. 失敗しても大抵救済できる - 捨てる前に対処法を試す
何か一つだけ覚えて帰るなら:「中火」と「適量は少なめから」
この二つだけでも、料理の成功率は格段に上がります。
料理が「面倒」から「まあ、やってもいいか」に変わるきっかけになれば嬉しいです。基本を押さえれば、毎日の食事作りがぐっと楽になりますよ。